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クーロン黒沢のおもしろ沖縄探検記

解体寸前!? 失われた怪奇遺産【中城高原ホテル】


前回、沖縄南部・中城村にある世界遺産「中城城(なかぐすくじょう)」を紹介した。

中世の面影を今に伝える石積みの城壁は、沖縄観光有数の見どころ。実はその城壁のすぐ脇に、世界遺産を凌駕する壮大なスケールの超巨大廃墟が存在し、そちらも負けず劣らず「見事」としか言いようがない眺めなのは、知る人ぞ知るお話だ。




1970年代に着工したものの、紆余曲折の末、工事半ばにして放置された幻の巨大リゾート「中城高原ホテル」

セメント色の外壁は、世界遺産として手厚い保護を受ける中城城と対照的に、何のメンテも補修もされず、40年余り野ざらし&雨ざらし。風雨にさらされ、ほとんど朽ちかけている。

見た感じドブねずみ色というか、物陰からプレデターでも出てきかねない不穏な雰囲気である。


中城城との境界にある「警告板」にも書かれているとおり、「中城高原ホテル跡」は独立した第三者の土地にあって、中城城と直接的な関係はないという。

それでいてふたつを結ぶルート上に警備員はおろか、遮るものがほとんどないため迷い込む観光客は後を絶たず、ネットを通じてその存在が広く知られるようになってからは、こちらの廃墟をメインに目指す者も大勢いるらしい……。


警告板の脇から恐る恐る中を覗き込む──。玄関から本館までは約200メートルの長い渡り廊下。照明の類は一切ないが、数メートルおきに明り取りの窓があり、想像より明るく見晴らしは良い。

通路という通路にはコンクリやタイルの破片、自然落下した天井材などが散らばり、ねずみ色の壁を埋め尽くすDQNの落書きと相まって、マッドマックス的な絶景がひろがっている。




と、そのとき突然、彼方に続く通路の奥の奥に、もぞもぞと動く真っ黒な人影を見てしまった。


総毛立った私が目をこらすと、そんな気配を感じたのだろう。背を向けていたそいつもこちらに顔を向けた。

パーカーのフードを目深にかぶり、顔はゴーグルとマスクに覆われている。両脇にいくつもスプレー缶を抱え、ゆっくり立ち上がったそいつを見て、ここだけの話、私は漏らしかけた……。あのとき奴が向かってきたら、ホントに漏らしていただろう。


ゴーグル越しにじっとひと睨みした奴は、踵を返し、軽快な足取りで走り去っていった。静寂に包まれたコンクリの世界に、瓦礫をこする足音が遠ざかってゆく。

超広大な山にへばりついたホテルの建物は、同じフロアでも段々畑のように高低差があり、まさに天然の巨大迷路。調度品の類が一切ない、骨組みと壁の集合体。どこを切り取っても似たような景色だけに、油断するとすぐ道を見失う。


窓をはめる前に資金がショートしたのか、割れたガラスがないのは救いだが、海の真横で40年も雨ざらしって、強度的には相当ヤバイのではないだろうか。





無数の落書き、散乱するBB弾を見るに、かなり大勢の人が入り込んでいると思われる。実際、今回の探索中も、スプレー男を含め、何組かの侵入者とすれ違った。


すべての侵入者が善男善女とは限らない。殺伐とした落書き、破壊されたドア、蛇や蜂も出るだろう。「安全の保証はしない」という警告を鑑みても、男女問わず、不用意に奥ヘ分け入るのは大変なリスクが伴うことを肝に銘じよう。ダメ!ゼッタイ!


中城城跡
沖縄県中頭郡北中城村大城503