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クーロン黒沢のおもしろ沖縄探検記

賑やかなゴーストタウン【辺野古社交街】



那覇から北へ約60キロ。高速を使えば約一時間。基地移設問題で沖縄でもトップクラスの「ややこしい場所」となってしまった「辺野古(へのこ)」地区。

辺野古には半世紀以上も前から「キャンプ・シュワブ」というアメリカ海兵隊の基地が存在するが、ここに沖縄南部の普天間飛行場を移設しようという動きに、左翼勢力を中心とした市民団体が猛烈な反対運動を繰り広げ、問題はもう、当事者たちもわけがわからないほど複雑化している。


 県道329号線から辺野古市街に入ると、 真っ先に見えるのが「ウェルカム・辺野古社交街」という日英折衷の謎看板。

 社交街とは本土で言う繁華街のこと。もともとここは「キャンプ・シュワブ」が生まれて間もない1958年。米軍のアップル中佐という人物が中心となって開発した土地で、通称「アップルタウン」と呼ばれていた。


ベトナム戦争時代は、スナックやバーなど60軒近くが並ぶ一大ネオン街として栄え、人口の過半数がホステスに。バーの店主たちは1食25セントで外食できた時代に、連日数千ドルもの大金を売り上げていたという。



碁盤状に区画整理された繁華街は、10分もあればひと巡りできてしまうこじんまりしたスケール感。かつて賑わった風俗店は概ね廃墟化し、全体的に色あせ、まさに崩壊寸前といった面持ちである。


米兵どころか通行人の姿すら滅多に見ない閑散としたストリート。潮の香り漂う、朽ち果てた建物の陰から荒野のガンマンでも出てきそうな、そんな荒みきった「アップルタウン」で営業が確認できたのは、わずかにタトゥーショップとタコス屋の2軒だけ。


噂では、黒木メイサ(辺野古出身)が帰省するたび訪れるという、カツ丼が名物のイタリアンレストランもあるそうな……。



そんながらんどうの繁華街からわずか徒歩10分。キャンプ・シュワブに近づくにつれ、空気は一変する。

勇ましい横断幕を掲げたテント村の奥で、がやがやと座り込む高齢者の一団は皆、反対派のメンバーだ。この日は(なぜか)中国のテレビクルーがデモの様子を撮影していた。


間もなくすると、どこからともなく現れたサングラス姿の警備員集団が抗議団と睨み合う。一日数回、ダンプの車列が基地を出たり入ったりするたび、ゲート前の緊張感はこれ以上なく張り詰める。


警察バスから続々と吐き出される機動隊。拡声器を抱えた反対派のアジテーターが機動隊員の実名をひとりひとり挙げながらディスり、絶叫し、機動隊は機動隊で、座り込みの爺さん、婆さんを黙々と、大根でも引っこ抜くように、一人ずつひっ剥がしてゆく……。

黄色い悲鳴。もみ合う群衆、辺りは「混沌」という言葉がぴったりの混乱状態。どこからともなく北島三郎の「まつり」が聞こえてきちゃいそうな雰囲気と言ったら、現場のムードがご想像いただけるだろうか?


キャンプ・シュワブ
沖縄県名護市辺野古